クライオ・セラピー

クライオ・セラピー(冷却療法)とは

冷却療法は、スポーツ外傷・障害において効果的な手段として取り入られるようになりました。

主には、肉離れ、捻挫などですが、それ以外にも怪我から復帰後のリハビリテーションやトレーニング後の筋肉疲労回復や痙直防止、関節稼動域の改善、炎症などを和らげることを目的としてアイシングを行います。

また、この冷却療法の目的として「クライオ・キネティック」と「スライオ・ストレッチ」があります。

「クライオ・キネティック」

関節の捻挫などの患部を冷却し痛みを軽減してリハビリをおこないます。

「スライオ・ストレッチ」

肉離れ・痙攣などに対して冷却を加え、皮膚感覚が麻痺している間にアイソトニック(等張性のある、一定の負荷で筋肉が短縮、伸張する状態)を行い、筋肉を弛緩させます。

アイシングの種類

①アイスパック

氷嚢など、長時間肌に当てても安全なものを利用して患部を冷却します。アイシングの時間は20分前後。
氷をビニール袋に入れ、直接患部を冷却しても構いませんが、皮膚が凍傷をおこす危険がありますので布やタオルなどで包んで行なうことをお勧めします。

②コールドスプレー

競技中などの緊急時に直接患部にスプレーをかけて冷却します。捻挫や挫傷などでの表層部を麻痺させるのに有効的といえます。
コールドスプレーは深部まで冷却することは困難で、効果は5〜6分程度です。

また、長時間患部に直接スプレーすると凍傷を起こす可能性がありますので注意しましょう。あくまでも緊急時の一種の対処法であることを理解しましょう。

③アイス・タオル

氷水にタオルを浸しておき、関節などを包んで冷却します。
タオルを使用しますので、冷しながらエクササイズすることができ、背部や大腿部などの大きな部位に対して行なうことができます。

④アイス・マッサージ

氷片で患部をマッサージします。一般的には、紙コップなどに水を入れ凍らせた氷を使い、肘、肩、アキレス腱、腰や筋肉の疲労や緊張を取るため行ないます。

時間は、10〜20分程度で皮膚がピンク色になるまで軽く円を描くようにマッサージを行ないます。

「痛い(ジーンとする)」→「暖かい(ポカポカする感じがする)」→「ピリピリする(針で刺された感じがする)」→「感覚が無くなる」という感覚があり、冷却した患部の感覚がなくなればそれ以上行なう必要はありません。

アイシングの効果

一時的に損傷した組織の周囲にある細胞の代謝を抑えて、酸素と栄養が運び込まれることが少なくても、生き延びることができるように、いわば細胞を”冬眠状態”に置く効果があります。

その後、酸素欠乏による二次的損傷が起き、組織に酸素が一時的損傷から侵食してきて、その弱った細胞を殺します。アイシングの効果は、この酸素の働きを抑制してくれるのです。

アイシングで「冷す」か「冷さない」かでは、酸素欠乏による二次的損傷や血管外出血及び浮腫・血腫の範囲が減るため回復に要する時間が少なくなります。

また、冷却によって血管の収縮に続いて、その反射性で血管が拡張して充血して筋紡錘の興奮性が低下し、筋が弛緩して冷却による麻痺が強く痛みを抑制することができます。

アイシングにおける注意

アイシングにおいて最も注意することは『凍傷』です

冷却する「時間」と「温度」がポイントになります。長時間の冷却と食塩を使用して温度の低下をしての冷却は危険を伴いますので注意しましょう。

《禁忌対象》

①レイノー病、血管痙攣性患者

②冷えに対する感覚過敏者、アレルギー体質者

③心臓疾患のある者

④局所の血液循環不良のある者

《注意対象》

①あきらかなリュウマチ症状のある者

②麻痺・昏睡状態にある者

③慢性の動脈疾患のある者

④あきらかに過敏症のある者

上記に該当しない方を対象に行ないますが、患部周辺の血行が悪くなってきたようであれば、即座に冷すことを中止してください。